2013年5月13日月曜日

林業を考えるため『道づくりと経営』を読みました。

『道づくりと経営』大橋慶三郎(林業改良普及双書)を読みました。


この本は、山梨県で造林業を営む藤原造林の藤原社長に、先日教えていただきました。
(有)藤原造林は、山梨県において森林の維持・造成を行っている会社です。
私たち山守は主に人工林の手入れを行い荒廃している林を、
自然の営みの中で後世に引き渡す役目をしている山仕事のプロフェッショナル集団です。
藤原造林さんとは、こういう会社です。

そしてこの藤原社長は、奈良県吉野町の清光林業さんを師と仰いでいて、その清光林業さんの師が今回の著書の「大橋慶三郎」さんという訳です。

農業同様、林業も「たいへんで、誰もやり手がいない」と言われる現代社会の中で、上記のように明確な使命感を持ち、しっかりと経営できている会社が山梨県にもあります。
私は、その根底に流れる理論を知りたいと思い、今回の本を読みました。

出版社を見てもお分かりの通り、林業のかなり専門的な説明はあります。しかし、それは一部であり、ほとんどが「山仕事から学んだ」という価値観や、体験談から来る教訓や、あるべき人間関係など、大橋さんの人生哲学が語られています。

そして、山という自然そのものから人生を学ぶ、つまりそれが「経営」なのだ、と言っています。
木は植えてから最低50年~60年経過しなければ収獲に繋がりません。私たち林業を営んでいる者は、本物を正しく選択しなければとんでもないことになります〔倒産してしまいます〕。・・・・・本物と偽物とを厳正に審判するものは何といっても、それは「時」であろうと思っています。・・・さらに私は自然の掟(きまり)をモノサシにして真偽を判断するように努力しています。(p78)
これと同じようなことを、私は山梨県の数名のワイナリーの醸造・栽培家からも教わったことがあります。

自然に根拠を持つ会社経営。「強い」と思うのです。
しかし、世間には自然とは無関係の経営や、自然に反した経営がいかに多いことか。

これは経営だけではないですね。
国政も、地方行政も、地域も、学校も、エネルギー政策も、私たちの家族も、生き方そのものも、これらすべて「どのように継続して、少しでも豊かになっていけるのか」を探求する営み、つまり「経営」だと思っています。

笹本貴之 / 笹本環境オフィス株式会社 代表取締役